西神楽聖和地域は旭川市の南東側に位置する農村地域であり、人口減少が進む旭川市の中でも特に青少年の減少と高齢化の進行が著しい地域である。地域内の高齢化率は平成26年4月末現在43.3%と旭川市内でも群を抜いている。農業形態は中小規模の農地を有する農家が大半であり、その経営基盤が脆弱と言うのが実態であり、また広域分散型の集落形成は、行政サービスの非効率化を招き積雪寒冷地独特の気候風土は、更なる過疎化を進める要因となっている。
一方では旭川空港近郊の田園地帯であり、全国的にも有名な美瑛町に隣接し、近年人気の旭山動物園に25分、富良野市などの観光地にも車で1時間圏内にあり、美しい景観の美瑛川・辺別川をはじめ、都市近郊としては豊かな自然と共存しており、地域を魅力づける多くの資源を有する。また、旭川市の中心市街地までは車で20分程度で、中心市街地には、医療・福祉施設やデパート等商業施設など、生活に便利な施設が集中しており、田園環境と都市的利便性の両方享受できる地域でもある。
また、小規模ではあるが無農薬などの付加価値がある農産物の生産に取り組むなど、施設農業で周辺農村とは異なる農業経営を模索している現状と、平成25年度からスタートした旭東地域(東神楽・西神楽全域)の農地集約化の事大規模業が調査の最終段階を迎えつつあり、農業経営と農村集落の暮らしを両立させる大きな課題に直面している。
旭川空港を利用する観光客をターゲットに、空港周辺に広がる当地域の景観や安心・安全な食をアピールすることで、圏域内だけでなく首都圏までを対象とした、都市住民との交流から、新たな経済活動の発展を模索している。例えば当聖和地域で実施している「冬季集住・二地域居住プロジェクト」では、観光シーズンに空き家を使った都市住民向けのロングステイを提供してきた。冬季には当聖和地域発のイベントであるウインターサーカスを開催し国内や海外の観光客へ様々なアプローチを実践してきた。平成25年2月には東京六本木ヒルズにおいて地場食材を提供した集落と企業との連携プロジェクト「ローカルリソースエキスポ2013」に参加し当地域のシャングリラ計画のプレゼンテーションを実施し好評を得、実際の事業化に向けて準備中である。